そこで一樹さんは離婚から現在までの一部始終、そして養育費や慰謝料の見直し案を提示したのですが、前妻はどのように反応したのでしょうか?

 「不妊治療してまで子作りをするなんておかしい」
 「そんなの身分不相応でしょ!?ぜいたくだわ!」
 「あなた(現妻)には子どもを産む資格なんてないわ。さっさとあきらめなさいよ!」

 そんなふうに前妻は怒りの感情を前面に出して、まるで「そっちで勝手に作ったんだから、こっちを巻き込まないで!育てられないのなら堕ろせばいいじゃない」と言わんばかりの勢いだったそうです。前妻はさらに畳み掛けてきました。

「もし彼女と再婚せず、扶養せず、不妊治療をしなければ、養育費や慰謝料を減らさずに済んだでしょ?」

 もちろん、再婚や不妊治療、出産はあくまで個人の自由でしょう。常識的には前もって前妻の承諾を得るべきという見方もあるでしょうが、再婚、不妊治療、妊娠はいずれも前妻の承諾を得ずに行うことが可能ですし、過去を振り返ってタラレバの話をしても話は前に進みません。あくまで今現在の経済状況、家族構成だけをもとに現状に即した条件に補正すべきだということを一樹さんは強調したのですが、ますます前妻の嫉妬心に火をつけてしまったようで……。

「プラプラと遊んでるんじゃないわよ!そんなにカツカツなら、あんた(現妻)が働けばいいじゃないの?」

前妻の傍若無人な物言いに
黙って聞いていた現妻が重い口を開いた

 そうやって前妻は啖呵を切ってきたので、一樹さんも思わず、言葉を失ってしまったそうです。実際のところ、現妻はちょうど不妊治療が終わったばかりで心身ともに疲れ果てており、特に精神的に不安定なので、まともに仕事ができるような状態ではありませんでした。また治療が終わったとはいえ、今度は妊娠期間に入るので、妊婦に向かって「働け!」と強要するのはどう考えても無理強いでしょう。

「だまされた!アンタが養育費、慰謝料をちゃんと払うって言うから、渋々、離婚届に判を押したのに。養育費や慰謝料を途中で減らされるって分かっていたら、離婚してあげなかったんだからね!もう、どうしてくれるのよ!!」

「養育費や慰謝料は妻の言い値を約束するから、その代わりに離婚してほしい」。離婚時、一樹さんは前妻(当時の妻)の暴言癖や束縛癖、そして家出癖にほとほと疲れ果てており、そうやって口走ってしまったことがあったそう。離婚を渋る前妻を説得するため、やむを得なかったようですが、今さら「言った、言わない」で押し問答をしても出口は見えないでしょう。