日の丸交通・富田和孝社長。自社のニオイ対策にも積極的に取り組む

 今年3月、国土交通省自動車局旅客課が発表した「タクシーに関するアンケート調査」によると、「タクシーを利用する際に重視する点はどのようなことですか」という問いには、1位になった「安全性」に次いで、2位に「車内の清潔性・快適性」がランクイン。また、「タバコのにおいがしないこと」という点を重視しているコメントも寄せられていた。この結果からわかるように、ニオイを含め、車内環境を快適にすることは今のタクシー業界において避けられない課題になっている。

 先程紹介した対策を講じ、「社員の意識は高まってきた」(富田社長)なかで、2011年には社員の女性20名が覆面モニターとなり、自社ドライバーのサービスをチェック。その調査の結果、「車内の清潔感」という項目は98%がOKとなり、車内が気になるという回答はわずか2%にまで減少できた。

「クレームを寄せてくださるお客様も、ドライバーのニオイが気になると指摘してくれ社員も、女性が中心です。以前から弊社ではドライバー不足の問題解決のために、女性ドライバーの採用に取り組んできましたが、彼女たちから『(運転する車をシェアする)あの男性ドライバーの後に乗るとくさい』といった声が寄せられていました。ですが、約1500名いるドライバーのうち女性ドライバーが今や70名になり、これまで男の職場だったところに女性の目が入ることで、社員の意識は大きく変わってきたと思います」(富田社長)

 せっかくタクシーに乗るなら、ニオイのしない快適な車内で過ごしたい。同社では現在、「深夜帰宅の際に男性ドライバーだと不安」「男性特有の臭いが嫌」といった女性の顧客の声に答えるべく、女性ドライバーを指定、予約できる『なでしこタクシー』というサービスを開始した。

 今後、課題になってくるのがドライバーへの指導だ。これまでも対面点呼の際に指導をするように促してきたが、「運行管理者からは体臭の問題は自分で分からない場合も多く、相手を傷つけてしまう恐れもあるためどうしても言いづらいという声が寄せられている」(富田社長)ため、課題も多い。

 當間工場長によると、「自分からは言いづらいからか、男女問わず『あの人のニオイが気になる』と私を仲介役にして伝えてくることも。そのときは直接指導するか、手紙を車に置いておくとある程度の効果はある」というから上手な伝え方や指導によって、解決する糸口は見いだせそうだ。

 タクシーのニオイ問題が本格化する冬を直前に控えた今、これほどタクシー会社とドライバーがニオイ問題に真剣に取り組んでいることが明らかになった。だからこそ、利用者である私たちは、ニオイも含めてマナーを守り、快適にタクシーを利用していきたいものだ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 林恭子)