日本が誇るおもてなし。その最たるものを体験できる場所の1つが、日本の一流ホテルだろう。洗練された接客で訪れた人々に安心感を与え、リラックスさせてくれる。そんな空間は一体、どのように作られているのだろうか。ふつうにホテルを利用するだけではなかなか知ることができない、一流の空間づくりの裏側を「スメルマネジメント」の視点から探ってみた。
なぜ一流ホテルでは
自然とリラックスできるのか
東京・早稲田大学のすぐ隣、大隈庭園の緑に包まれた場所に聳え立つのが、リーガロイヤルホテル東京だ。同ホテルは、リーガロイヤルホテルグループの1つとして1994年5月に誕生し、今年開業から21年目を迎えた。同グループ内で最初に開業し、シンボル的存在でもあるリーガロイヤルホテルは開業80年の歴史があり、数々のホテルランキングでも上位にランクインするほど、“おもてなし”が高く評価されている。
都会の喧騒を離れた早稲田にある同ホテルの中に入り、フロント近くへと案内されると、こう声をかけられた。
「何か、香りがするのに気がつかれませんでした?」
言われてみれば、いい香りがするような気が……。
「お越しになったお客様には、ホテルにいらしたときからリラックスしていただきたいと考えておりまして。そこで、1年ほど前からアロマディフューザーを利用した、天然アロマオイルの香りの演出を試験的に始めました」
こう語るのは、同ホテルでグループサービスチーム長を務める畳谷恵介さんだ。香るのは、フロントだけではない。実は、ブライダルサロンのある4階と一部の客室フロアでもアロマディフューザーを利用し、香りの演出をしている。