所得水準が1.5万ドルを超えると
民主化運動が起きる
中東も教育システムを改善して熟練技能労働者を生み出すとともに、お役所仕事に慣れた人々に、需要に左右される民間企業の厳しさを教える必要がある。
エジプトでは宗教的原理主義勢力と世俗派の対立に加えて、経済が悪化していたから、中間層が民主化より秩序を選んだのは無理もないのかもしれない。ただ、1848年にヨーロッパ各地で民主主義革命が起きたように、いずれ民主化圧力が爆発するのは間違いないだろう。問題はそれがいつになるかだ。
大きな試金石となるのは中国だ。中国が民主化すれば、民主主義は西側の価値観なのか、それとも普遍的な価値観なのかという議論に決着がつく。また、ソ連崩壊後のような民主化の波が起きるだろう。ほとんどの予測では、中国の1人当たり所得は5年後に1万5000ドルを超えると見られている。一般に所得水準が1万5000ドルを超えると、民主化運動が起きると考えられている。
国民の教育水準が高く、平均年齢が高ければなおさらだ。また、1人当たり所得が増えれば中間層も拡大する。現在の中国の中間層は人口の10%程度だが、2020年には40%に達する可能性がある。