世界経済の低迷下で中国の存在は大きい
だからこそ国際社会は堂々と糾弾すべき

 リーマンショック以降の世界経済を見回すと、多くの国や地域で、景気の低迷によって供給能力が需要を上回るデフレギャップが発生している。デフレギャップを埋め合わせて景気を回復させるようとすると、最も手っ取り早いのは海外にモノを売ること=輸出を促進することだ。

 そうした状況下、中国の存在意義は大きい。13億人の人口を抱えているため、莫大な消費地であることは間違いない。輸出主導型経済のドイツなどにとっては無視できない有望市場だ。

 一方、中国が抱える鉄鋼やセメントなど過剰供給能力は、インフラ投資を必要とする諸国にとっては大きな助けになる可能性がある。インフラ投資を中国に依存せざるを得ないミュンマーやカンボジアなどにとって、同国の意向を無視することは難しい。

 現在、中国はそうした状況を上手く使っている。成長著しい経済力を基礎にして軍事力の増強を図り、近隣諸国に対して力を誇示しながら領土拡張主義を進める。その一方で、有望な需要地としての地位を使って、ドイツや英国など欧州諸国との距離を縮める外交政策を展開している。

 ただし、中国は領土拡張主義など誤った政策を続けている。長い目で見れば、誤った政策はどこかで転換せざるを得ないのだが、その転換点が来るまでにはまだ時間がかかりそうだ。

 過去の世界史を振り返ると、国内経済が行き詰まって、国民の関心を海外に転じさせるケースは幾度となくあった。1930年代、わが国も国内経済の行きづまりから、朝鮮半島や満州へと領土拡大に走った時期があった。当時のわが国の政策は国際社会で糾弾され、最終的には悲惨な敗戦へとつながった。

 今回の中国に対しても、国際社会は是々非々のスタンスを明確にすべきだ。国際法に照らして容認できない行動に対しては、国際世論の反対を盛り上げることで堂々と糾弾すべきだ。近隣諸国が厳しい状況に追い込まれないためにも、早い時期に、そうした対応が必要だ。