英独仏、ベトナム、そして台湾──
積極的な首脳外交の背景にあるものは
Photo:新華社/アフロ
これまでも本コラムで取り上げてきたが、最近の中国の頻繁な首脳外交や南シナ海における活発な動きの背景にある、戦略的意図をどう読むべきだろうか。
9月末の米中の首脳会談は大きな成果を生み出すことはなかったが、その後、11月1日に3年振りの日中韓の首脳会談が実現した。また同7日には66年前の中台分離後初めてとなる中台首脳会談が開催され、その直前の5日には、9年振りとなる中国国家主席のベトナム訪問が行われた。
欧州との関係においても活発な首脳外交が行われている。習近平国家主席は10月19~23日に英国を訪問し、400億ポンドと言われる経済協力のパッケージに合意したほか、10月末から11月頭にかけて訪中したメルケル独首相、オランド仏大統領とも相次いで首脳会談を行った。この間、南シナ海問題は米国駆逐艦の「航行の自由作戦」により、新たな局面を迎えている。
中国は対外的戦略として、鄧小平時代には「韜光養晦」、すなわち力をためるまで対外的には低姿勢で臨む基本姿勢をとった。近年までの10年間、年平均10%の経済成長を実現し急速に台頭してきたが、「平和的台頭」という言葉を掲げ、周辺国の警戒心の払拭に努めた。他方、世界で第二の経済大国に躍り出た2010年以降、中国は自信をつけ、東シナ海や南シナ海などでの一方的行動が目につくようになった。習近平政権は「中国の夢」や「新型の大国関係」といった概念を掲げ、積極的な対外行動に出ている。
おそらく、習近平国家主席にとっては「中国の夢」が最も重要な概念なのだろう。本年6月にこのコラムで「膨張する『中国の夢』に日本はどう向き合うか」の題で書いてから5ヵ月の間にも、この「中国の夢」の実現に向け具体的動きが見られる。国内的には中国国民も豊かになる夢を持つべきとし、2020年には対2010年比GDP及び一人当たり国民所得の倍増を達成すると約しているが、達成可能なのだろうか。