「現地に興味を持つことがスタート台。性善説ではないが個人を信じ切ることが大切」と答えたのは有馬デンソー社長だ。「グローバル化は、ラーメンとスパゲティの食べ方の違い。音を立てて食べるか食べないか、同化して初めて見えないところが見えてくる」という回答は、豊田章男トヨタ社長である。

 最後に「チャレンジで得たものは?」という問いに対しては、「工場現場で50年やってきたが、入社して3年の頃に金もない、モノもない中でカイゼンのチャレンジをしたが、大きな失敗をした。上司が許してくれ、失敗を経験し成功に繋げることができた」と現場の体験を河合トヨタ専務が語った。

「新たな職場への挑戦は、大きな経験になる。自身の経験で言えばやりたくなかった経理を9年やって営業に出たが役立った。ムダな仕事はなく一生懸命やれば活きてくる」とは玉村ニッパツ社長。北島カローラ徳島社長は「販売店としてのチャレンジは、1995年頃に章男社長が第3車両部の課長だったときに、新車物流改善に一緒に取り組んで、結果を出したことがある。クルマの進化や社会の変化の中で、販売店も新たな取り組みに挑戦し続けていかねば」と語った。

 豊田章男トヨタ社長がこれらをまとめて、「結果より大事なことは、チャレンジし続けること。チャレンジしたことによる失敗は許される。何もしないことより、チャレンジし続けることだ」と言うと、大会幹事会社の有馬デンソー社長が「いい会社はリズムがある。いいリズム感をいかに出せるかだが、章男社長の司会はリズム感が良かった」と笑いを誘って、座談会を終えた。

「強さ」の源泉となる
オールトヨタのTQM

 毎年開催され、今年で50回を迎えたこの「オールトヨタTQC大会」だが、マスコミに公開されたのは初めてという。筆者は実際に見聞して、「愚直にやっていく」というトヨタ創業者の精神のベースをグループ全体や取引先にまで広げ、それを半世紀も続け、これからも終わりはないとする彼らのポリシーに対して、「トヨタの強さの源泉」を目の当たりにした気持ちになった。

 張名誉会長が講演で述べた「トヨタが最も大切にする競争力は人づくり」という言葉、そしてデンソーの有馬社長が述べた「デンソーの取引は、半分がトヨタだが半分はトヨタ以外のビジネス。それには、やはりトヨタグループで鍛えられたものが源泉であり活きている」という言葉が、それを物語っている。

 製品品質の問題では、トヨタも豊田章男社長就任時に米国リコール問題で苦慮し、これを契機に「原点に立ち返ったTQMの実践」が進められてきた。ここへきて海外では、独VW問題が噴出した。狭義の品質に加えた広義の品質、「お客様に見える品質」を向上していくためにも、変化の中で必ず発生する新しい課題に対しては、終わりなき真因追求を行うことが求められる。そうした中で、オールトヨタのTQMはさらなるトヨタの強さに繋がっていくのだろう。

 トヨタが持続的成長を実現していくには、人材育成の成長スピードが緩んではならないということを、実感した次第である。