「Tさん、最近洗濯洗剤を変えませんでしたか?これは洗剤アレルギーによるかゆみかもしれません。衣類に残った洗剤が汗などで溶けだして、皮膚にかゆみなどの症状がでるのです。

 そんな時はまず、無添加・無香料の低刺激な洗剤に替えてみてください。しばらくはお薬をだしておきます。かゆみがとれることで睡眠も改善できると思いますので、様子をみましょう」

 帰ってきて妻に聞いてみると、最近、合成洗剤の種類を替えていたことがわかった。そこで妻に医師から言われたことを伝え、洗剤を粉石鹸にしたことで、その夜からは体に感じていたムズがゆさがなくなり、前よりゆっくりと眠ることができた。

「以前の不眠症の再発か」と怯えたが、実は意外な原因だった。かゆみにこんなストレスがあること。そして、その原因が洗濯洗剤であったことにTさんは驚いた。

 アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎に詳しい横浜市の野村皮膚科医院の野村有子院長は、洗剤と痒み、不眠の関係性について以下のように語る。

「この方の場合は、かゆみが睡眠の質を下げていたのだと思います。肌の弱い方、赤ちゃんやお年寄りがよく、洗剤でかぶれて、シャツやパンツが肌にあたる部分、靴下のゴムの部分など、布でこすれるところにかゆみや赤みを訴えます。

 洗濯用洗剤は大きくわけて合成洗剤と、石鹸洗剤に分かれます。合成洗剤に配合された界面活性剤、香料、酵素、保存料などの成分には、肌が反応することがあります。このような症状が出る方は、無香料・無添加のシンプルな粉石鹸や液体石鹸など石鹸成分からできている洗剤に替えることをお勧めしています。

 洗剤アレルギーが疑われる方は石鹸洗剤だけにして、柔軟剤や漂白剤、スプレー糊などの使用を一旦やめてください。また、洗剤はなるべく少なめにしてすすぎを多めにしてください。下着や靴下だけでなく、パジャマ・タオル・シーツ・枕カバーなどの洗濯も注意してください。肌が敏感になっているときは粉石鹸などに替えてもしばらくかゆみが残ることがありますので、長引く場合は皮膚科に気軽に相談にきてください」

≪取材を終えて≫
私自身も、劇症の金属アレルギーであることを40歳を過ぎて知りました。そこで、皮膚科の先生と相談して、歯に入れた金属を全てセラミックに替えました。その他、鍋をテフロン加工に変えたり、水道に浄水器をつけたりすることで症状はかなり改善されています。このように日常生活の思わぬものが、皮膚トラブルの原因になっていることもあります。気になる症状が長引くときはアレルギーテストをして、原因物質を特定することをおすすめします。(日本医学ジャーナリスト協会 市川純子)