軽減税率のバカバカしい議論にも意味はある
民主党は消費再増税前提で戦うつもりか!?

 先週は、連立与党である自民党と公明党の間で軽減税率をめぐる議論が行われていて、連日ニュースになっていた。生鮮食品だけが対象か、加工食品も含めるか、さらに外食も含めるかという、はっきり言ってバカバカしい内容の、あの騒動だ(逆進性対策、低所得者対策なら同額の「給付金」の方がいいに決まっている。経済学的には初歩の知識で明らかな結論だ)。もっとも、政権の側にはバカバカしい議論に付き合って、しかも、公明党に大幅に譲歩することには、それなりに意味があった。

 会の挨拶で、民主党のある有力政治家は、軽減税率をめぐる自公の議論を「消費税率の引き上げに関わる三党合意では、消費税は社会保障の財源として使われることになっていたのに、軽減税率の財源に使われるというのは全くおかしい。本来社会保障の充実に使うべきだ」という趣旨の話をした。

 筆者は、これを聞いた時に、一瞬目の前が暗くなった。

 民主党は、どうやら、2017年の消費税率引き上げを前提として、当面の経済政策論争を挑むらしい。それでは、参議院選挙も、行われれば総選挙でも、民主党は確実に大敗するだろう。

 2016年の前半段階で、物価上昇率はどの指標で見ても、政府と日銀が目標とする2%には届いていない可能性が高い。この情勢では、2017年に消費税率引き上げを強行した場合、インフレ目標の達成がますます遅れる公算が大きい。

 アベノミクスには、もともと物価にはある程度の粘着性があり、マイルドなインフレの環境を作ることが、経済成長のためにも、財政再建のためにも好ましいという、政策の「手順」に関する理解があったはずだ。この原点に立ち返るなら、2017年時点での消費税率の10%への引き上げは、延期する事が正しいし、それが選挙的にも正しいことは、昨年の総選挙で見た通りだ。