大阪府知事と大阪市長のダブル選が投開票され、知事選は地域政党「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)公認で現職の松井一郎氏が、市長選は同会公認の新人で前衆院議員の吉村洋文氏が、いずれも自民党推薦候補を大差で破り、当選した。大阪維新の会は、5月の住民投票で否決された「大阪都構想」に再挑戦することになるだろう。

 あらためて主張しておきたいが、今後、関西の政治学者・行政学者は、橋下氏を批判すると同時に、大阪市の「交通局」「水道局」「環境局」のような「現業部門」の職員が非常に巨大な政治力を持つようになっていることを、厳しく検証すべきだろう。バスの運転手や、ごみ収集の職員など現業部門が、市長選などで一定の影響を与え、市長、市議といえども現業職員に容易に逆らえない雰囲気があると言われている。これは、学者として見過ごしてはいけない現象なのではないだろうか。

 また、医師会、薬剤師会、トラック協会などさまざまな協会、町内会、商店街などという、橋下市長がよくも悪くも真正面から批判してきた「既得権者の問題」の問題について、新しい府知事・市長はどう対処すべきか。学者は意見表明すべきではないだろうか(第107回・3p)。

 いずれにせよ、ダブル選を通じて、大阪維新の会は存在感を示した。今後は、野党再編に大きな影響力を持つことになるだろう。

 それでは、本題に入りたい。民主党と維新の党が共に解党し、自民党に対抗できる勢力の結集を図る「野党再編」の動きが顕在化してきた。民主党の前原誠司元外相と細野豪志政調会長が、維新の党の江田憲司前代表と会談し、「年内に両党を解党して新党を立ち上げるべき」との考えで一致したのだ。

 その後、江田氏は、岡田克也民主党代表と会い、解党について決断するよう迫った。また、前原氏も秋の園遊会で岡田代表と顔を合わせた際、野党再編を巡り意見を交わした。だが、岡田代表は、「今は解党とかを考えていない。政党は簡単にばらばらにしたり、組み替えたりできるものではない」と発言し、解党には否定的な考えを示している。

存在感をなくしたように見えた「壊し屋」江田憲司は
政界再編に向けて静かに動き続けてきた

 筆者は、「政界再編論者」の江田氏を、野党再編のキーマンとなる「壊し屋」として注目し、ずっと追い続けてきた。江田氏は「みんなの党」党幹事長を務めていたが、渡辺喜美党代表(当時)と次第に対立を強めた。2013年11月、特定秘密保護法案の取り扱いを巡ってその対立は決定的となり、江田氏は離党して「結いの党」を結成した。みんなの党はその後、渡辺氏のスキャンダルや、更なる離党の動きによって解党した。