不況時でも、アルバイトを辞める人の理由のトップは「人間関係」。アルバイト情報誌「an」を発行するインテリジェンス(本社:東京都千代田区)は、こんなアンケート結果を発表した。

アルバイトする理由
半数以上が「生活費のため」

 アンケートは今年3月に実施し、7071人から回答を得た。過去1年間にアルバイト・パートをした人に「働き始めた理由」を複数回答で聞いたところ、「生活費を補いたかった」が50.3%と半数以上で最多。「生活費を補いたかった」を選んだ人は、昨年同時期のアンケートと比べ、約7ポイント高かった。前年調査時の0.7ポイント増と比べ、増加幅が拡大。求職者の厳しい経済状況を伺わせる結果となった。

 だがその一方で、2位以下の「趣味に使うお金が欲しかったので」(39.2%)、「貯金を増やしたかったので」(36.2%)、「時間を有効に使いたかったので」(34.5%)、「自分自身のステップアップになると思ったので」(21.6%)なども、前年調査時に比べて若干ながらポイントが増加。同社では「求職者が、日々の生活のためだけではなく、趣味や今後の生活への備えを見据えて働き始めたと考えられ、仕事に対する志向性に変化が見え始めている」と分析する。

辞める理由「給与が低いから」は減少傾向
緩やかな景気回復傾向の表れか?

 また、辞める理由として最も多かったのが「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」(23.8%)。2位以下は「楽でない・疲れる仕事だから」(15.9%)、「給与が低いから」(13.8%)、「仕事に興味が持てない・興味を失ったから」(11.8%)と続く(複数回答)。

「給与が低いから」は、前年と比べ2.3ポイント減。仕事を続けるにあたっては、賃金よりも職場の環境や仕事内容を優先するという声が多い結果となった。

 就業前からわかっている給与に比べて、働いてみないとわからない職場環境を「辞める理由」に挙げる人が多いのは当たり前かもしれないが、2009年に一気に増加したポイント(4ポイント増)が再度減少したのは、景気の緩やかな回復傾向と連動する。

 しかし、辞める理由のトップはリーマンショック前の2008年から一貫して「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」。正社員と同様、アルバイト・パートの定着にも環境が第一に影響していることが見て取れる。

 求職率が増加する一方で、勤労者の定着率が上がらない現状。雇用者には、景気の低迷時にこそ、就業環境の改善が求められるのかもしれない。

(プレスラボ 小川たまか)