晩婚化・非婚化が進む一方の日本。厚生労働省の発表によれば、2008年の平均初婚年齢は男性30.2歳、女性28.5歳。1970年(男性26.9歳、女性24.2歳)、1990年(男性28.4歳、女性25.9歳)と比べ、徐々に初婚年齢が遅くなっていることは明らかだ。背景には、結婚に対するどのような意識の変化があるのだろう。トヨタマーケティングジャパン(東京都文京区)が行った調査で、年代別の「結婚動機」に明確な違いがあることがわかった。
調査は20~60代の子どもを持つ男女1万人を対象に行ったもの。
20代の3人に1人が「できちゃった結婚」
北海道がNo.1エリアに!
「結婚動機」を聞いたところ、20~60代まで、どの年代でもトップだったのは「一緒に生活したかったから」。しかし、2位以下の項目で大きな差が出た。
まず目立つのは、結婚動機が「子どもができたから」という、いわゆる「できちゃった結婚」について、20代が突出して多いこと。約31%と、全体の約3割が「できちゃった結婚」だった。30代(約12%)、40代(約6%)、50代(約2%)、60代(約2%)と、年代が上がるにつれて少なくなる。
「できちゃった結婚」「でき婚」が流行語となったのは1990年代後半。月9でドラマ「できちゃった結婚」が放映されたのは2001年のこと。今や芸能人の結婚報道で「妊娠はしていない」などの説明が付け足されるのはお約束だが、こうして数字で見ると改めて驚く人も多いのでは。最近では「授かり婚」「おめでた婚」と言われることもある。
また、地域別で見たところ、結婚動機が「子どもができたから」の率がトップだったのは北海道(36%)。続いて、「関東(東京を除く)」(35%)、「九州」(同)、「東北」(33.3%)。「東京」(23.1%)、「四国」(19.5%)は低く、地域によっても差があることがわかった。
「結婚=一人前」の意識は薄れている
逆に60代の「結婚動機」2位で、年代が下がるに連れて減っているのが「結婚するのは当然だと思っていたから」。60代で約23%だが、20代では約5%。「結婚してようやく一人前」、「結婚=独立」といった意識が徐々に薄れてきているのがわかる。同じように、「周囲から薦められて」も、年代が下がるに連れて減る傾向があった。
アンケートでは同時に「結婚の役割」についても質問している。トップはこちらも、どの年代でも同じで「喜びや苦労を分かち合う」こと。「結婚動機」ほどの大きな差は見られなかったが、「生活面でお互い協力し助け合う」(20代=約11%、60代=約16%)、「愛情をはぐくむ」(20代=約14%、60代=約6%)などで若干の違いがあった。同社ではこれについて「(20~30代の家族は)どちらかというと家族を役割としてみているのではなく、もっと自由でゆるやかなつながりとしてみているのがわかる」としている。
今も昔も結婚が人生の一大事であることに変わりはないはず。その決心を後押しするのが昔は「結婚適齢期」という既成概念だったが、現在では「できちゃった」という既成事実に変わりつつあるのかもしれない。情報が溢れ、個々の考え方や選択肢が重視され、旧来の既成概念への比重が軽くなりつつある現代に増え続ける「できちゃった結婚」。今だ批判的な意見も少なくないが、情報化社会の帰結でもあると考えるのは突飛な考えだろうか。
(プレスラボ 小川たまか)
<今回をもちまして当連載は終了となります。ご愛読いただき、ありがとうございました>