うつ病に苦しむビジネスパーソンの増加は、今や深刻な社会問題。政府は、2011年度から、企業で行われる健康診断にうつ病など精神疾患の兆候を調べる問診を導入することを目指している。体の病気に比べ、まだまだ理解が進んでいないと言われる心の病気。企業での「うつ病チェック」について、ビジネスパーソンはどう考えているのだろう。
企業での「うつ病チェック」に
リストラなどを恐れる反対派の声も
アイシェア(東京都渋谷区)が20~40代の男女424人にアンケートしたところ、「うつ病などのメンタルヘルスの検査が企業の健康診断で行われること」について、「賛成」(とても賛成・どちらかというと賛成)は75.9%、「反対」(どちらかというと反対・とても反対)は24.1%だった。
賛成派の意見は「自発的に病院に行きにくいから」「本人が自覚していないことが多いため」「周囲に兆候のある人が増えている」など。心の病気が決して他人事ではなく、自分や周囲に起きうる問題として捉えていることがわかる。
その一方で反対派が約4分の1いることも見逃せない。反対派の意見は「会社にうつ病とわかったらリストラされそう」「結果を企業に知られるのは嫌」など、会社との関係を気にするものが多かった。
同僚がうつ病になった経験「ある」は約半数
さらに、就業経験者(全体の94.3%)のうち、職場内で同僚がうつ病になった経験が「ある」と答えた人は49.8%。自分自身がうつ病と診断されたことが「ある」人は6.6%、「ないが似た症状の経験はある」人は24.1%。この結果からも、うつ病が身近な問題であることがわかる。
また、同僚がうつ病になった経験がある人の80.4%、自分自身がうつ病になった経験のある人の85.7%、うつ病に似た経験をした人の86.3%が、健康診断時のメンタルヘルス検査に「賛成」と回答している。うつ病を身近で経験した人の方が、若干ではあるが必要性を感じているという結果が出ている。
政府が発表した検診の内容は、問診で問題がある場合は「要面接(専門医との面接が必要)」であることを本人と企業に連絡するが、その際の具体的な自覚症状については企業には伏せるというもの。専門医との面接後、精神疾患の疑いがあると診断された場合は、当人と企業を交えた話し合いを行うことを予定している。今後、企業側と雇用者それぞれが、精神疾患と今回の制度をさらに理解することが必要となりそうだ。
(プレスラボ 小川たまか)