汚染水を浄化するためのALPSシステムも安定的に動いています。当初あった、濃縮されたストロンチウムの入った汚染水の処理はすでに終わっていて、仮に流れ出ても問題ない状況になっています。よく汚染水漏れで報道された、ボルト型のフランジ型タンクは解体され、溶接型の大きなタンクがどんどん立っている状況です。遮水壁も完成して汚染水の漏出問題については、現在はもうほぼなくなったといっていい。現在手つかずなのは、原子炉の格納容器本体くらいじゃないでしょうか。

開沼 一方、僕が『はじめての福島学』で書いた「福島はめんどうくさい」という状態はより進行している。福島をめぐる報道や言論をステレオタイプの再生産でずっと続けている人たちがいるからです。

 震災後満5年たつ2016年3月11日に向けても、「原発・放射線・除染・避難・賠償金・こどもたち」というこれまでの固定キーワードに絡めながら「福島はこうです」という、ろくに取材もしないで、2011年当時の福島のイメージにもとづいた「答えありき」でお手軽に寄せ集めた情報を垂れ流してウケ狙いしようとする報道や情報がたくさん出てくるのでしょうね。また「復興が遅れてる」とか知ったようなこと言うんでしょうが「遅れてるのはあんたの頭の中だよ。プロなら愚直に手足動かして情報をあつめて現実をつかめ」っていう話でしかない。現場はもうそういうステレオタイプとは関係なく、いいものもわるいものも目まぐるしく動いている。メディアを通して語られる福島の姿と実際のギャップは広がるばかりです。実際に現場に取材に来た人は、「あれ、なんか思っていたのと違う」と気が付くのでどう報じていいのかわからなくなってそういう安直な描写に走るんでしょうが。

――放射能の状況についても、とかくセンセーショナルに伝えられることが多いですね。

竜田 「放射能についてわからないことがある」というのは、全体の半分がわからないのではなく、100あるうちの1以外は、汚染状況についても健康影響についてもほぼすべて解明されている、くらいのイメージなんですけどね。

 例えば、汚染水関係で現在よく漏れたと騒がれるのは雨水ですが、実際に数値を見ても大した数値ではない。ですが、漏れた事実だけが騒がれる。実際にこうしたニュースの後の周辺海域の魚に対しても放射性セシウムND(検出限界値以下)がほぼ99%以上です(*2)。そこは地元漁協ももっと自信をもって言うべきですよね。