*1 Q 原発周辺は今も放射線量の高い「死の町」なの?

A 特別対談にもあるように、現在廃炉作業員として約7000人が働いており、原発までの作業員の通勤ルートである国道6号線は、朝晩慢性的な渋滞が発生しているほどだ。事故直後にむき出しになった4号機にはカバーが付いた。

 2011年は作業員の拠点となっていたJビレッジから、原発まで全面マスクとタイベック(放射線防護服)装備で移動していたが、現在では原発構内の汚染数値も大幅に下がり、そのため屋外も含む原発構内の多くの部分で、通常の作業服で行き来ができる。

 
 
*2 Q 汚染されている福島の食品が流通しているんでしょ?

A 事故直後、放射性物質が検出される可能性がある食品には全て出荷規制がかけられた。その後出荷基準値を超えた物は市場に流通させない仕組みもできた。これまで、福島県、各農協・漁協などで出荷前検査を行い安全性が確認された物だけが流通している。検査数は県だけでもこれまで累積で100万件を優に超える。

 現在、出荷基準値を超える食品は、出荷を前提としない検査用の野生の獣肉などに限られ、その比率も全体の0.3%程度しかない。

 主食の米についてはさらに全量全袋をスクリーニング検査する方法が取られ、毎年1000万袋以上が検査された上で、出荷基準値を超えない物のみが出荷される。

 現在福島県内で生産者が出荷を自粛している主な物は近海魚類だが、事前の3万件のモニタリング調査から、一定期間以上検出限界値(装置で測定できる限界)未満が確認されている魚種67種に限って、出荷前に検査の上、福島県近郊を中心に流通している。

 原発事故前から、日本人は大気・大地・宇宙線などから年間2.1ミリシーベルトの自然被ばくをしていた。事故を契機に国は長期的な目標として年間での追加放射線被ばく量1ミリシーベルトという目標を定めたが、これは「超えると人体に影響が出る」数字をはるかに下回る、あくまでも管理上の長期目標。出荷基準値は「日常的に汚染された食品を食べ続けた」と仮定しても、この目標に届かないとして設定された基準にすぎない。放射性物質は量の概念が最も重要で、実際に食べる形に調理し日本人の食生活に合わせた場合の数値で見る必要がある。日本の基準は世界と比べてもかなり安全に設定されている。
 
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