日本においても1990年代後半、ブランドカラーをコカ・コーラに対抗して青に変更するとともに、ペプシマンというイメージキャラクターとともに、ボトルキャップなどのおまけブームを仕掛けて、マーケティングの力を再認識させられました。

 ちなみに余談ですが、かつてスティーブ・ジョブズがアップルにヘッドハンティングしたジョン・スカリーは、ペプシチャレンジを仕掛けた張本人でありました。ジョブズがいかにマーケティングを重要視していたのかがわかる1件だったと言えるのではないでしょうか。

 ライオンのハンドソープ「キレイキレイ」も、マーケティング力でブランドを築き上げた好事例です。この「キレイキレイ」が登場する以前のハンドソープ市場は、「薬用石鹸ミューズ」の独壇場ともいえる状況でした。

 そのような市場に製品を投入するにあたって、小さいこどもに「お手てキレイキレイしましょうね」と話しかけるお母さんをメインターゲットに、イメージキャラクター投入とそれに対応したマーケティング施策(歌や絵本等のコミュニケーションツール)とともに幼稚園・保育園等でのデモンストレーションを仕掛け、わずか数年でトップシェアを獲得するに至りました。

顕在化したニーズではなく、
潜在化している“ウォンツ”を狙う

 これらいくつかの事例からも、マーケティング力の重要性は十分認識いただけると思いますが、ことアップルに関してはさらに考察すべきポイントがあります。それは、これまで世の中になかったものを生み出す力です。

 まだIBMがコンピューター市場を席巻していた当時、「必ずオフィスのデスクに1人1台ずつパソコンが設置される時代がくる」と公言して社員を激励していたのがジョブズです。思い起こせば、Windows95が発売された頃でさえ、一般的な企業ではようやく各部署に1台のパソコン、といった状況でしたから、当時は完全にマイクロソフトに覇権を握られていたとはいえ、その先見性は見事というほかありません。しかし、これを先見性という一言で片付けてしまうようでは、その先はありません。

「顧客ニーズを把握することが不可欠です」という話はよく耳にしますが、顧客ニーズを把握した上でできることとは何があるでしょうか?