自然、広い空間、遠くを見せるのは
赤ちゃんのときから

 視覚のセンサーの狂いは、言葉で言い表せません。
 それしか見えぬ子に、それ以上見える世界を説明することはできないからです。

 前述の子には、おかしな行動がいくつか、確実に出ていました。一緒にランニングをしたり、目標に向かってまっすぐ歩かせると、少しずつフラフラ動くことと、大きくカーブすることが交差して、「前をしっかり見ろ」と言っても、それだけで修正できないのです。

 絵を描かせても、写生できないものがあります。単純な茶筒や、急須のエッジが、うまくつながらなくなるのです。技術のまずさではありません。私の描いた平面図は、マネができるのですから。

自然をよく見せ、広い空間を見せ、遠くを見せておくことは、ハイハイして、目の前の小さなゴミを見ることができるようになった赤ちゃんのときから、大事なことなのです。