バーンスタイン助教授とClass of 2017 Section Cの皆さん(2015年12月、ハーバードビジネス スクールにて撮影)

ハーバードビジネススクールで「テッセイ」の事例が大絶賛されているという。テッセイとはJR東日本テクノハートTESSEIのこと。授業で紹介されているのは、あの「新幹線お掃除劇場」が誕生するまでの物語だ。

美しい制服や衣装に身をつつんだ清掃スタッフたちが、驚異的な早さで新幹線を清掃する模様は、「7分間の奇跡」として海外メディアでも大きく取り上げられた。

なぜイーサン・バーンスタイン助教授とライアン・ビュエル助教授は、この事例をハーバードで教えたいと思ったのか。

『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書、1月16日発売)にも掲載した両教授のインタビューを3回にわたってお伝えする。後編では、学生からの反響を中心に、ハーバード大学で巻き起こるテッセイ旋風について紹介する。(聞き手/佐藤智恵 インタビュー〈電話〉は2015年11月18日)

イーサン・バーンスタイン
Ethan S. Bernstein
ハーバードビジネススクール助教授。専門はリーダーシップと組織行動。MBAプログラムにて必修科目「リーダーシップと組織行動」、PhDプログラムにて「フィールド調査の技術」を教える。組織におけるリーダーシップ、コラボレーション、チームワーク、デザイン・シンキング、組織学習を専門に研究。1996年米アーモスト大学在学時、交換留学生として同志社大学に留学したのを機に、日本に強い関心を持つ。2004年から2005年までボストンコンサルティンググループ東京オフィスに赴任し、プロジェクトリーダーを務めた。最新の執筆ケースに“Trouble at Tessei” (Harvard Business School Case 615-044, January 2015)がある。

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関心の薄かった学生も
テッセイの授業後は賞賛へ

佐藤 ハーバードビジネススクールの何人かの教授から、「テッセイのケースは教員の間で話題となっていて、多くの教員がこのケースを教えたがっている」と聞きました。まさにテッセイの大旋風が巻き起こっている、と言ってもいいのではないでしょうか。

バーンスタイン 確かに、通常よりも注目を集めているケースにはなっていますね。ただ2015年10月に出版されたばかりですし、「大旋風を巻きおこしている」と言いきるには早いかなと思います(笑)。これからどのぐらい反響があるか、楽しみにみてみましょう。

ビュエル 私の所属するオペレーションマネジメントの部門では、何人かの教授から「テッセイのケースを自分の授業に取り入れたい」という相談を受けました。私とイーサンだけではなく、多くの同僚にも、このケースを教えてもらいたいですね。