トヨタがシリコンバレーで
人工知能研究の“ドリームチーム”を結成
2016年1月5日、米ネバダ州ラスベガス。世界最大級のIT・家電見本市CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)の開催を直前に控え、マンダレーベイホテルで報道陣向けの記者会見が続いた。
フォード、LG、サムスン、パナソニックなどのビッグネームのなかで、メディアの注目が大きかったのがトヨタだ。
なぜなら、シリコンバレーで開設されるTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)の詳細が明らかになったからだ。
TRIについては、2015年11月9日の東京での記者会見で豊田章男社長が、「AI(人工知能)の研究に、5年間で10億ドル(約1200億円)を投じる」と発表。世界各国から“自動車産業界の転換の前兆だ”と大きな話題となっていた。
今回の会見では、オートモーティブ・オペレーションの筆頭副社長、ボブ・カーター氏がプレゼンを幕開けし、詳細の説明をTRI初代CEOのギル・プラット博士に任せた。筆者は、プラット博士が前職のDARPA(国防総省・高等研究計画局)のロボティクス・チャレンジのプログラムマネージャーの時にインタビューをおこなっている。
トヨタ関係者によると、トヨタがプラット博士に最初にコンタクトしたのは2015年3月。つまり、このインタビュー時点で、TRIへの転職がほぼ確定していたはずだ。
さて、今回の会見で公開されたTRIの詳細は、次の通りだ。
施設は2ヵ所で、一つはカリフォルニア州パロアルト市内、スタンフォード大学まで“自転車で10分程度の距離”の場所にある「スタンフォード・リサーチパーク」内。もう一ヵ所はマサチューセッツ州ケンブリッジ市で、MIT(マサチューセッツ工科大学)まで“自転車で10分程度の距離”の「ケンドル・スクエア」だ。
また、TRIの使命として、(1)交通事故の抑制、(2)高齢や身体の不自由によって運転できない人々に対する移動手段の提供、(3)ロボットなどの屋内モビリティにトヨタの技術を活用、(4)材料科学の研究、以上4点を挙げた。