証言の綻びは意外に重要!
何らかの「口裏合わせ」の可能性も

 たとえば、12年前に大阪市の第三セクター「大阪港埠頭ターミナル」で、米国産ブロッコリーの箱のなかで傷モノになったものを取り出して、かわりに中国産ブロッコリーをつめて流通させるという産地偽装事件が起きて、青果営業課長ら3人の関与が明らかになったことがある。当初この3人は「中国産は残留農薬問題で売れ行きが激減していたので、どうにかさばきたかった」という主旨のことを述べ、あくまで自分たちが主導して偽装をおこなったとしていた。

 しかし、3人の供述が「偽装方法や日時、言い回しまで不自然に一致」(産経新聞2004年7月31日)していることなど、なにかを隠している雰囲気がプンプン漂う。そこでさらに厳しく追及をしたところ、彼らの語るストーリーに不審な点がみつかった。

 3人は「米国産の箱をひっくり返して底を開けてつめこんだ」と説明していたが、実際に彼らから指示を受けて偽装工作をおこなった下請け会社は「箱の上部を開けてつめかえた」と述べていたのだ。

 複数の人間が関与する経済事件などでは、関係者がなにか重要なことを隠して言い逃れをしているがために、供述ストーリーが破綻をするということがよくある。捜査のプロはそういう綻びを決して見逃せない。そこで大阪府警が3人をさらに厳しく追及したところ、「荷主側の指示だった」と真相を明かしたわけだ。

 ちなみに、この荷主は全国のスーパーにも多数の野菜を卸売している輸入野菜販売大手ローヤル。3人がゲロってからも記者会見を催して社長が「会社としての関与は絶対ない」と大見得をきって、強制捜査を受けても「うちは被害者」と強気の姿勢を崩さなかったが、ほどなく広域営業部係長と野菜部主任がFAXで、「大阪港埠頭ターミナル」の3人に指示をしていたことが明らかになった。

 このことからも、完璧に口裏を合わせたはずの3人が、下請けの証言と食い違ってしまった最大の原因というのが、荷主であるローヤル社員をかばってのことというのは容易に想像がつく。「荷主からFAXで指示」という事実を握りつぶしたため、全体のストーリーに整合性がつかなくなってしまったのである。

 こういう過去の教訓をふまえれば、ダイコー大西会長と、みのりフーズ、そして廃棄カツを流した食品業者の供述が食い違っていることの意味は大きい。

 この大規模なフードロンダリングには、まだ伏せられている事実がある可能性が高いことに加えて、捜査の手が及ばないように誰かをかばっているということも考えられるからだ。