副社長候補のBさんにも「真の意思決定者は自分であっても、対外的には社長を全面的に立てるべし」と肝に銘じてもらわなくてはならない。このときBさんは、フォーマルな場面で社長に劣後して振る舞うことに心から納得し、しっかりと対応できるだろうか。よほどの人物でないと難しいであろう。

「お互いがそれぞれの役割をよく理解したうえで、尊重し合い、力を合わせて経営に携わる」といった合理的な判断は、結局のところ、小さなプライドや嫉妬によって実現が難しくなる。

 とくに中年男性にあっては、容姿によって差がつけられるという社会的経験知がまだ少ないから、対外的なメリットよりも心理的なデメリットによって、このオーナー社長が下したような合理的なアイデアは実現しないことが多いだろう。男心もなかなかやっかいなものなのである。

(構成/大高志帆)

※なお、本記事は守秘義務の観点から事案の内容や設定の一部を改変させていただいているところがあります。