「何もしないリーダー」は
2つの能力を備えている

だからと言って、現場にすべてを任せればいいかというと、そうではありません。メンバーが個別の判断を下す際のよりどころ―すなわちビジョンを伝えるのは、ほかの誰でもなくリーダーの仕事です。

したがって、リーダーには次の2つの能力が求められます。

(1) メンバーが共感して自ら動きたくなる、魅力的なビジョンをつくる力
(2) ビジョンをメンバーにしっかりと伝えて浸透させる力

ビジョンとは「リーダーが実現したいこと」だと言い換えてもいいでしょう。しかし、「実現したいこと」であれば何でもいいかというと、そういうわけではありません。やはり「何を実現したいのか」によって、人が動きたくなるかどうかは大きく変わってきます。

一方で、どんなにすばらしいビジョンをつくっても、それがメンバーに伝わっていなければ、ただの「きれいごと」「お題目」で終わってしまいます。
優秀なリーダーほど、ビジョン策定に費やしたのと同じ、またはそれ以上の情熱を持って、「どうすればこの思いをメンバーにわかってもらえるだろうか」「どうすればこのビジョンが腑に落ちて、自分から動きたくなってくれるだろうか」に知恵を絞っています。