リーダーの年齢は問われなくなる

ビジョン型リーダーシップを取り入れているのは、製造業や小売業だけではありません。
極端な言い方をすれば、どんなビジネスであろうと、ビジョン型のリーダーシップを取り入れていかなければ、時代に置いていかれかねないのです。

たとえば、金融機関。アメリカのある大学の研究には、「これから15年後には、現在ある仕事の50%がコンピュータに置き換わっている」という予測があります。そのなかには、金融機関の業務、税理士、会計士の業務なども含まれています。
何も対応しないでいれば、日本の金融機関であろうと、15年もしないうちに経営危機に直面するかもしれません。

ITがさらに発展し、人工知能(AI)が進歩すれば、資金決済や財務審査、会計・税務処理などは、コンピュータがすべてやってくれるようになります。簡単な問い合わせや窓口業務も、AIを搭載したロボットの自動応答でかなり対応できるようになるでしょう。また、これから顧客となる若者たちは、ほぼ100%スマホ世代ですから、ウェブ上で完結するサービスを求めてくるはずです。

そうした環境下で、金融機関は未来に向けて、どんな事業展開を仕掛けていくべきなのか?―これを考えるのが喫緊の課題です。

しかし、金融機関の経営陣のなかに、スマホを使いこなしたり、ITに通じていたりする人はどれほどいるでしょうか? あまりいないと思います。

これからの事業を考えるにあたっては、スマホ世代に近い人たちに新たな金融業を牽引してもらうのがいちばんです。リーダーたちは、未来の大きな流れを現場に指し示したら、あとは次の世代を担う若者たちに具体的な未来像を描いてもらう勇気が必要なのです。

時代の大きな変化は、過去の常識にとらわれない若い世代へと、リーダーの年齢を引き下げていくことになるでしょう。年齢に関係なくリーダーとして活躍してもらうためにも、ビジョンの大切さを知っておくことが重要です。