トヨタが復活し、シャープが凋落する理由
日本型経営やビジョン型リーダーシップを考えるうえで、象徴的な事例としてわかりやすいのは、トヨタ自動車やパナソニックのような会社と、シャープやソニーといった会社との比較でしょう。
いずれの会社にも危機はありましたが、トヨタやパナソニックが度重なるピンチをくぐり抜けて復活を遂げているのは、両社ともに、確固たる哲学に支えられたビジョンが継承されているからではないでしょうか。
いまトヨタは、豊田家出身の豊田章男さんが代表取締役社長(第11代社長)をしていますし、絶対的な存在として、その父である豊田章一郎さんがいらっしゃいます。トヨタとして何を大切にするべきなのかが、現在に至るまで脈々と受け継がれているように思います。
また、パナソニックは、松下家との関わりは薄くなったものの、PHP研究所などに松下幸之助さんの精神が受け継がれていますし、幸之助さんから直接薫陶を受けた人がご存命で、その哲学やビジョンの継承に大きな影響力を持っているように思います。
ものづくりの大切さや働くことの意味、利益は社会に貢献した証であること、また、その利益は「さらに事業を拡大せよ」と社会から委託されたお金であるといった考え方が、同社にはまだ残っているのではないでしょうか。