ビジョンは「耳」から浸透する
経営者向けの講演などで、ビジョン型リーダーシップのお話をすると、参加している方から「どうすれば社員にビジョンが浸透するのでしょうか?」という質問を受けることがあります。
「何かコツのようなものがないか?」ということなのでしょう。
正直なところ、私がたくさんの社長にインタビューしてきた経験から言うと、お手軽にビジョンを浸透させるテクニックというものはありません。
ただ、最も有効と思われる方法をあえてあげるとすれば、それは「リーダーが自らの声で語ること」です。
ビジョンを伝える方法としては、すでにいろいろなものが紹介されていると思います。
最近では、動画やメールなどを使ってメッセージを伝えるという方もいらっしゃいます。
数多くのメンバーを抱える大きなチーム・組織であれば、こうしたツールを積極活用する知恵も必要なのですが、やはり最も効果があるのは、リーダーが自分の声で(口頭で)、メンバーに直接、何度も何度も語りかけることです。
もちろん大企業の経営者や大きな部署のリーダーになると、メンバー全員に向かって語る機会は少なくなっていくでしょう。
また、業績が振るわず精神的にも余裕がなくなってくると、メンバーと顔を突き合わせて話をすることにストレスを覚えるリーダーも多いと思います。
しかし、そんなときこそ、リーダーが直接語りかけるべきです。経営危機から立ち直った経営者の方にお話を聞くと、「危機のときこそ、現場に行くようにした」と話す方が少なくありません。