その欧州におけるマイナス金利の導入目的ですが、まず、「マクロ経済における為替レートとインフレ率」に関する部分で、(1)自国通貨を保有させないことによって、自国通貨高を回避すること、(2)自国通貨安にすることによってインフレをもたらすことです。また、「民間金融機関の行動」に関する部分で、当座預金残高を減らし、それを(3)融資に回すこと、また(4)国債など証券投資に回すことです。

 デンマークとスイス・スウェーデンは、欧州においてユーロが下落する中、資金が流入することによる自国通貨の高騰を防止しました。もちろん、輸入価格の上昇によってインフレ率も上げることとなりました。

 ECBの場合には、(3)と(4)が目的で、そのころユーロ域内の金融機関は、企業の信用状況が悪化し融資に対して消極的であったこと、そして同様に、ギリシャなどユーロ域内の国々の(信用が低下した)国債への投資を回避していたことへの対策でした。しかし、銀行経営はそういうものではありません。結果として融資の基準が緩み、欧州の大銀行ですら不良債権が増大し経営がさらに悪化することとなりました。

日銀マイナス金利の目的と効果を考える

 欧州の事例を踏まえ、今回の日本銀行の「マイナス金利」導入を考察してみましょう。

(1)円安誘導(為替レート)
 確かに、本連載(第22回)でも書きましたが、日本銀行が金融緩和を実施する本当の目的は、上記の欧州の中央銀行と同様に円高防止の時であると考えています。ちなみに、今回のアベノミクスの一環としての量的・質的金融緩和の目的は、円高防止・円安誘導とも考えられます(アベノミクスの円安で、景気が回復しなかったのは、すでに製造業が海外に移転し、円安・輸出増加のプロセスが景気に与える影響が20年前の約4分の1になっているからです)。

 今回も中国株の混乱と原油価格の底割れによって、低リスク通貨とされる円が買われ、115円を前にしたので、この理由は考えられます。