ホームラン型?ヒット型?
「トップ営業マン」の2タイプ

 そもそも「トップ営業マン」と呼ばれる人には2種類ある。

 1つめは、特定の顧客に食らいついて、提案を膨らませ大型受注をとってくる「ホームランタイプ」である。顧客の経営課題から掘り下げて、自社商品の貢献できる範囲を思いきり広げるために特別対応を社内にも要請し、他社商品などとも連携しながら、顧客に大きな貢献をする。一つの取引の金額も大きい。会社の歴史に残る「伝説の仕事」はこのタイプによって成し遂げられる。ただ、彼らは、当てるときは大きく当てるが、空振りも少なくない。

 もう1つは、顧客のポートフォリオの組み方や営業行動の工程管理がうまく、着実にヒットを積み上げていくタイプである。顧客ニーズをタイプ分類し、タイプことに異なるツールを作成して営業を行う。顧客の本気度や自社商品の効果の見極めが上手で、攻めるべきときは攻めるが、ダメならダメで深追いはぜず無駄なエネルギーは使わない。訪問件数の確保から、提案、見積もり、受注といった各工程に具体的な目標を策定し、そのプロセスを巧みに回していく。その結果、長期間にわたり優れた成果を収めるので、「伝説の営業マン」となるが、個々のお客さんからは、気の利いた良い営業だとは思われていても、卓越したビジネスパーソンだとは認識されていないことも多い。相手の期待値を上げすぎないことも、営業にとって重要な技術だと認識しているからだ。

 さて、一般的に言って、営業マンから営業課長、営業部長と、営業の領域でステップアップし、営業に関する本の出版や講演をする立場になる人は、ほとんど後者のヒットタイプだ。ホームランタイプは、途中でマネジメント系や事業開発系に変わっていくことが多いし、そのほうが幸せになる。そういえば、銀座のホステスさんの世界でも、特定のお客さまに通いつめさせて大きな売り上げを作るタイプは長続きしないそうだ。トップになるのは、気が利いて接待の場をきちんと作れる安定感のあるタイプ。つまり大ファンは少ないが、「月イチで必ずお客様を連れて店に来る」ライトな贔屓筋が大勢いるヒットタイプである。