8月末に裁判所へ提出する予定の日本航空(JAL)更生計画をめぐって、銀行団とJALサイドの攻防が続いている。入手した極秘資料を読み解くと、JALの計画案がいかに甘いかが透けて見える。もはやJAL単独の努力だけで再建の道を歩むのは厳しく、公租公課も含んだ航空行政全体の見直しが必須だ(『週刊ダイヤモンド』編集部 津本朋子)

 東京・品川区にある日本航空(JAL)本社。6月に入ってからというもの、25階のレセプションホールでは連日、JALと企業再生支援機構関係者、そして銀行団が膝を突き合わせて更生計画案の説明や質疑応答を行っている。

 本稿執筆時点で更生計画案すべてが説明されたわけではないが、編集部が入手した資料を基に分析をしてみると、いかに甘い計画であるかがよくわかる。

 右のグラフを見ていただきたい。今年度(2010年度)、そして11年度、12年度とかなりの業績回復をする計画となっている。12年度の連結営業利益率は9.2%。海外の航空会社を見回しても9%台の営業利益率は非常に高水準で、にわかには信じがたい数字だ。

 不採算路線を中心に国内線30路線、国際線15路線の合計45路線から撤退するとともに大幅な人員削減で人件費をダウン。さらに、燃費効率の悪い大型機を、新型の小型機に入れ替えることで、燃費の大幅向上と座席利用率のアップを見込んでいる。

「大赤字の元凶は国際線事業のボラティリティ(変動リスク)の高さにある」──。
JALは会社更生法に至った理由の1つとして、08年のリーマンショックで客数・単価ともに大きくダウンした国際線事業を挙げてきた。

 しかし、100年に1度の大事件にたまたま遭遇しただけ、という言い訳は成り立たない。上のグラフにあるように、過去何年にもわたって、JALは「国際線のボラティリティ」に悩まされ続けてきた会社だった。

 一から出直すためには、ひとまず国際線の比率を大きく減らし、成長もしない代わりに大きく減少もしない国内線中心で手堅く稼ぐべきだが、今回の更生計画案では営業収入(売上高)の47%を国際線が、残り53%を国内線が占める見込みになっている(12年度)。