一流のリーダーの「人生哲学」は、部下の人生にも大きな影響を与えます

「秘書の仕事の醍醐味は、何ですか?」

 このような質問を受けた時、私は次のようにお答えしています。

「リーダーたちの人生哲学・フィロソフィーを直接聞けることです」

 日々の仕事を通じて、「人生訓」ともいえる一流のリーダーがもつ数々の信念を多く学ばせていただいたことが、私の人生に大きな影響を与えています。

 一流のリーダーは、自分なりの「人生哲学」を持っています。

 それは、偉人や他の人からの借り物ではありません。

 自分なりの「人生哲学」とは、その人の「経験」に基づく人生のフィロソフィーであり、その人自身の「経験」から湧き出てくる「信念の泉」と言ってもいいでしょう。

 過去の偉人が残した言葉を引用するのは、誰にでもできます。

 もちろん過去の偉人の言葉に心を打たれることはよくあります。そこには、たくさんの人生訓が散りばめられており、多くの人々の人生に影響を与えていることは間違いありません。

 でも、どうでしょう。

 たとえば、5年、10年と年月が経過し、何か自分の身に起こった時、過去に尊敬していた上司や先輩からの言葉と、本で読んだ偉人の言葉とでは、どちらを真っ先に思い浮かべるでしょうか? 

「そういえばあの時、○○さんはこう言っていた。だとすると、この場合はこうするといいのかもしれない」

「あの時○○さんはあのように対処して上手くいったから、今回自分もそのように対応してみよう」

 などとヒントを得ることはないでしょうか。

 その場にその人がいなくても、過去の会話ややりとりから何らかの指針を得ることができるものです。きっと、その言葉を聞いた時の状況が鮮明に思い出され、懐かしく思うことでしょう。

 過去に信頼し、尊敬していた上司や先輩の言葉のほうが心に響くものです。

 今振り返ってみても、10年間の秘書人生のなかで、これからの人生を明るく照らしてくれる言葉を数えきれないほどいただいたように思います。