(以下は、『一流の育て方』より)
主体的な人材の育て方の本質は、ビジネスも育児も一緒
「主体性を持った生き方をしなさい!」
「主体性が一番大切なんだ!!」
大きな声でこう怒鳴りつけていたのはそう、今は亡き私の父・ミスター・ビッグボイス氏(仮名/本当に声と体が大きい父であった)である。
奇しくも育児法の調査を進める中で、最も重要な育児方針は「自主放任で主体性を伸ばすこと」という回答が圧倒的に多かったのだが、口では「自主放任で、主体性を伸ばすことが大切」と言いながら、その行動はまったく逆、という親は、わが家を含めて意外と多いのではないだろうか?
ミスター・ビッグボイス氏は、口では「主体性が大切」と言いながら、私に焼肉屋で食事や飲み物のメニューひとつも決めさせてくれなかった。また、子どもが何を言っても父親の結論に口出しさせない京都一の頑固さを誇っていた。
私の進路に関しては口出ししなかったが、それは単に母親に任せきりだっただけである。具体的なアドバイスや選択肢をくれたわけではなかったが、とにかく「最低限、どこかの大統領くらいにはなれ!」と大きな気球だけはぶち上げていた。
主体的なリーダーを育てたいと願いつつも実際の教育方針は正反対、という困った方々をこれ以上生み出してはいけない。そこで本書の第1章では、主体性とはいったい何なのか、またどのようにして養われるのかに関して議論しよう。