竹中平蔵教授が「『親の教科書』といえる稀有な良書」と評し、『「学力」の経済学』著者、中室牧子氏が「どうやって子どもをやる気にさせるのか、その明快な答えがここにある」と絶賛!
“グローバルエリート”ムーギー・キム氏と、子育て連載でバズ記事連発のミセス・パンプキン氏が膨大な「家庭教育調査」から著した画期的な一冊『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子』を育てるから、子どもにとって「本当にためになる」育て方の秘密を公開する。
第1回は、ムーギー・キム氏が担当する。

自己実現している人と、単に偏差値が高いだけの人の差は、いったいどこからくるのか?

 私はこれまでさまざまな国で、各国のトップクラスの大学を出て、世界的な大学院で学び、最難関とされる企業で働くエリートたちと接してきた。
 その中で興味を引いたのは、学歴やIQなどは同水準の彼らエリートの中でも、主体的に決断を下していき、瞬く間に出世して自己実現するリーダーと、いつまでも受け身でうだつが上がらない、万年平社員で終わる社員に大きく分かれていたということであった。

 リーダーシップあふれる一流のビジネスパーソンと、単に勉強ができるだけの二流エリートたちのこの差はどこから来るのだろうか。
 彼らのIQや通っている学校のクオリティおよび入社後のトレーニングに大差がないことを考えれば、その差は幼少期からの教育環境、各家庭での教育に起因するのでは、と私は考えた。

アンケートの経緯:こんな立派な学生の、親の顔が見てみたい
一流の家庭教育に学ぶ、リーダーシップ教育の本質

「一流のエリートと二流のエリートを分ける家庭教育の真髄」を探る中、幸運にも日本を代表するトップクラスの優秀な若者たちに、彼らの受けた家庭教育に関して大規模なアンケート調査をする機会に恵まれた。

 私は東洋経済オンラインでの連載である「グローバルエリートは見た!」や『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)などの著作に絡んで、グローバル企業でのキャリアを志向するさまざまな就職活動生にキャリアアドバイスを求めていただくようになった。
 彼らは単にいわゆるトップクラスの大学に入ったのみならず、学生時代から起業したりNPOを率いて途上国で開発援助に携わったり、大学の研究室で特許を取得したりと類まれなリーダーシップを発揮している。彼らの話を聞けば聞くほど立派であり、次第に「こちらこそアドバイスしてほしいもんだ」という想いが強くなっていった。

「こんな立派な学生さんたちの、親の顔が見てみたいもんだ」と思った私は直ちに、彼らを相手にアンケート調査をし、幼少期から一体全体、どのような教育方針で育てられてきたのかを調べることにした。
 ここには200人を超える、東大・京大・早慶を中心とした学生の中でも、学生時代に突出したリーダーシップを発揮してさまざまなグローバル企業に進んだ学生に、両親の家庭教育を振り返って感謝している点、直してほしかった点を自由に記述してもらったアンケートがある。

 本書で紹介していく大量のアンケートの回答一つひとつが、育児に関して非常に示唆に富むものであり、注意深く読めば読むほど豊かな教訓を味わえる。そして驚いたことに、これらは本質的には、社会人全般に共通する「リーダーシップを育成する本質」ともいえる教訓の数々であった。
 かくして私は、幼少期のどのような家庭教育が、成人してからのリーダーシップを育むかに焦点を当てた本書を執筆する運びとなったのである。