インフレ動向に関して、記者会見でイエレン議長は最近のコアインフレ率の上昇を認めつつも「足元の(コアインフレ率)の安定が持続的かどうかはまだ分からない*4」と述べ、コアインフレ率上昇の持続性に関する自信の無さを吐露した。同様の認識を多数のFOMC参加者が共有しているが故の、慎重なコアPCED見通しなのだろう。

 筆者のインフレ分析に基づくと、現実のコアインフレ動向がFOMC参加者見通しを凌駕するリスクが多分に存在する。

 記者会見で、イエレン議長は最近のインフレ動向について「不自然な上昇」を指摘した。確かに、ここ2ヵ月のコア財価格の上昇は持続可能とは思えない。一方、コアサービス価格の上昇は労働需給の逼迫を反映した持続可能な動きと考えられ、最近のコアインフレ率が示す年率+3%超のハイペースは当然に持続不可能だが(持続可能だと高インフレであり大問題だろう)、インフレ目標に適う年率+2%程度の動きは十分に維持可能と思われる。

 記者会見においてイエレン議長がインフレ率のオーバーシュートを目指す訳ではない旨を強調した点を踏まえると、瞬間風速で足元より多少緩やかなペースのインフレ動向が定着すれば、利上げペースの加速がありうると解釈できるだろう。

今回のハト派寄りスタンスが
リスクオンを促し利上げを容易にする

 冒頭でも触れたように、結局のところ、今回のFOMC参加者が示した金利見通し、経済及びインフレ見通し、そしてリスクバランスに関する認識は相当にハト派寄りであると言える。恐らく、今回のハト派寄りのスタンスは金融市場におけるリスクオンを促し、Fed自身が目指す追加利上げへ向けた環境整備に役立つだろう。Fedが追加利上げに対して慎重な理由の一つは金融市場のストレスの上昇であった。

 その一方で、コアインフレ見通しが抱える上振れリスクと、金融市場におけるリスクオンと同時に訪れるであろう金融環境の引き締まり度合いの低下は、今回示した見通しを上回る利上げを、2016年中に必要とする可能性がある。そうした筆者の認識は、今回の会合においてジョージ・カンザスシティ連銀総裁が追加利上げを求めて反対票を投じた点からも裏付けられる。ジョージ総裁と同様の判断に傾くFOMC参加者は、4月会合、6月会合と徐々に増加するだろう。

*4:“it remains to be seen if this firming will be sustained”