お釈迦様の手を大きくする

瀧川さんご自身も、社員から何か提案があっても、それについて批評・批判は決してしません。以前は細かなことについ口を出したくなったそうですが、自らを律して、任せて見守る忍耐力を身につけたのだそうです。

社長の仕事は、社員という孫悟空が自由に飛び回れるよう、お釈迦様の手をどんどん大きくしていくことであり、現場で細かな指示をすることではないといいます。

任せて見守ることの大切さを語るリーダーは本当に多いです。

とくに、起業家リーダーが会社をある規模以上に大きくできるかどうかは、ここにかかっています。

口を出し続けてしまうリーダーは、「お釈迦様の手を大きくする」こと、つまり、さらなる事業展開の検討に時間を使えません。社員と一緒に孫悟空になって飛んでいるわけですから、仲間も増えないし、会社も大きくならないという膠着状態に陥ってしまうのです。

大きな組織でリーダーを務める方々にも同じことが言えます。

「どこまで広く任せて見守ることができるか」が、「どこまで高いポジションのリーダーを務められるか」を決定づけているのです。

未来工業・前社長の瀧川さんも「自分は何もしないリーダーだ」と語っていましたが、やはりビジョンについては、社員のみなさんに繰り返しお伝えしていたようです。

それは、より多くのお客様に便利に使っていただける商品を1つでも多く開発し、世に出していくこと。そして、商品の多様化を徹底し、少量多品種で価格を守りながら、よりスピーディにお客様のニーズに応えることです。