ホウレンソウ禁止の
もう1つの理由
ホウレンソウが禁止されている理由はもう1つあります。
「それは、指示待ち人間をつくってしまうということです。『ホウレンソウ』が日常のルーティンになると、部下は指示がないと動けなくなってしまう。いま、ミドル世代の判断力が劣っているとか、決断力がないということがよく問題とされていますが、『ホウレンソウ』の影響が大きいと私は考えています」
「常に考える 何故・ナゼ・なぜ」―未来工業の工場や事務所の各所には、こんな言葉が掲げられています。3回のなぜを繰り返すこの言葉が、同社の経営理念です。
未来工業では、法律で厳しく決められた規格の建設部材をつくっています。こうした製品の市場で、大手企業と渡り合っていこうとすると、価格競争ではまず太刀打ちできません。社員の誰もが知恵を絞り、工夫を施した製品を生み出し、シェアをとっていかなければならないのです。
だからこそ、自ら考えたり、動いたりすることを阻害しかねない「ホウレンソウ」は禁止なのです。しかし、ホウレンソウが禁止の職場で、各部門のリーダーは何をすればいいのでしょうか?
さらに、瀧川さんは続けます。
「上司は仕事していないですよ。『部下には手をかけないで、目をかけろ』ということです。『部長は仕事をするなよ。いかに働きやすい環境をつくるかだけを考えよう』と言っている。だから、現場は部下のやる気一本です」
部下が働きやすい環境をつくり、あとは口を出さずにじっと見守る―これはかなりの我慢が必要です。