現場の力を削ぐ諸悪の根源があるとすれば、それは「マニュアル」と「ノルマ」だ。マニュアルに命を吹き込み、ノルマがなくても自らメンバーが動く理想的なチームをつくるためには、どんな工夫が必要なのか? 藤沢久美氏の最新刊『最高のリーダーは何もしない』から、その実例を紹介する。
マニュアルには
「余白」があったほうがいい
メンバーが自ら動くチームをつくりたいならば、リーダーが取り組んでみるべきことがもう1つあります。
それは「なぜ」を伝えるということ。言い換えれば、「何のために行動するのか?」「その行動にはどんな意味があるのか?」を理解させるということです。ここがわかっているメンバーは、自分の仕事をより深く見つめ、自信を持って自ら動けるようになります。
東海道新幹線にN700系が登場した際に、JR東海(東海旅客鉄道株式会社/本社 名古屋市)に取材させていただいたことがあります。
「どうして遅延なく新幹線を運行できているのか?」「事故を起こさない仕組みをどうやってつくっているのか?」を伺ったところ、詳細なマニュアルの存在に加えて、従業員1人ひとりに定刻運行や安全に対するこだわりがあることを教えていただきました。
駅長さんや運転手だけではなく、新幹線に関わるあらゆる人たちが、遅延や事故を起こさないように、その時々の予期せぬ出来事に、機動的に対応しているそうです。