なぜノルマがないのに、
成長を続けられるのか?
マニュアルと同様、メンバーの自主性を阻害しかねないものに、ノルマの存在があります。じつのところ、従業員が生き生きと働いている会社の多くにはノルマがありません。先ほどご紹介した未来工業も、ノルマがなくとも毎年400を超える新商品アイデアが社員から生まれています。
ただし問題なのは、ノルマそのものではなく、そこから生じる「やらされ感」のほうです。そして、やらされ感が蔓延する原因は、ノルマの内容ではなく、ノルマの「伝え方」にあるケースがほとんどです。
北海道お土産の超定番「マルセイバターサンド」をはじめとする銘菓を生み出してきた六花亭製菓株式会社(本社 北海道帯広市)でも、ノルマなしに、毎年新しいお菓子が生まれています。
「ノルマがないのに、なぜ毎年のように新商品が次々に生み出せるのでしょうか?」―以前、取材で同社にお邪魔した際、社員の方に尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
「私たちは、お客様の『幸せの時間』をつくるためにお菓子をつくっているんです。ですから、幸せの時間をもっと増やすために、新しいお菓子をもっとたくさんつくりたいと思うのは自然なことなんですよ」
六花亭にも明確なビジョンがあり、社員たちがそれに共感しているからこそ、ビジョンを実現することが社員の働く喜びとなり、自律的に社員が努力するということが起きているのです。
車のコーティングサービスを行っているKeePer技研株式会社(本社 愛知県大府市)も出店数ノルマがあるわけでもないのに、毎年新たなお店が全国各地に生まれ、現在は全国に4000店舗以上をかまえています。