目標管理(MBO)はドラッカーが提唱した、人を大切にするマネジメント法です。しかし、「ノルマ管理」「人事評価制度」と誤解されることが多いのも事実。そこで、『個人、チーム、組織を伸ばす 目標管理の教科書』の著者・五十嵐英憲さんにノルマ主義に陥らない正しいやり方を解説してもらいました。
「目標管理」は人事評価の代名詞?
目標管理制度を導入している会社の人たちに、「目標管理とは何か?」と質問すると、十中八九、「“やらされ感”のともなった“人事評価の仕組み”」という冷たくシラけた答えが返ってきます。
「それはないだろう!?」と言いたいのですが、そう受け止められても致し方ない現実があるのも事実です。
たとえば、以下のような光景です。
年度初めに、人事評価制度の一環として、上司と部下が一対一で面接し、部下の「達成すべき目標」や「その難易度」を確認し合う(これを“握り(にぎり)”と呼ぶそうです)。
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6ヵ月経ったら、再び上司と部下とが面接し、「どこまで達成できたの?」「それでこれからどうするの?」「この達成度じゃ、低い評価しか付けられない。もっと頑張らなくちゃ!」と上司がはっぱをかける。
部下は「どう考えても無理だよねぇ~」と心で呟いているが、口から出るのは「頑張ります!」「努力します!」の声。
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期末には、握った目標の「難易度×達成度=貢献ポイント」という方程式で仕事の成果をはじき出し、それを使って人事評価が決定される。
このような現実に身を置けば、誰だって、目標管理は人事評価ツールだと受け止めてしまうでしょう。
しかし、それは「本当の目標管理」に照らせば、明らかに間違いです。
こうした間違いのある限り、目標管理はずっと嫌われ者のまま。しかし、それではもったいない。
なぜなら、本当の目標管理は、会社と働く人々両方が、「ともにハッピー」を実現するためのとっておきの切り札だからです。