生活保護を利用しながら
パチンコを仕事にすることはできるか?

 では、「パチプロ」あるいは「パチンコ評論家」を標榜し、個人事業主として「パチンコが仕事です」と主張することはできるだろうか? 

 まず、「娯楽は事業なのか?」「パチンコによる現金収入とは?」がネックになる。パチンコをプレイすることそのものを「事業」と主張するのは困難だ。また、景品を現金に交換すること自体がグレーゾーンであるという問題もある。このため、いわゆる「パチプロ」が個人事業主となる場合、古物商の免許を取得し、個人商店として届け出を行っていることが多いようだ。この場合、収入は景品の「売上」として計上することができる。

 また「パチンコ評論家」「パチンコブロガー」なら、著述業者としての届け出も可能であろう。しかし、遊興費以外の何物でもない貸玉代金を「経費」と主張できるかどうかという問題がある。2015年3月、最高裁は外れ馬券を必要経費と認める判決を下したが、独自の購入方法や購入額(この判決の例では3年間に約30億円)から下された判断である。収入金額・メディア露出などから「業」と判断される状態ならば、おそらく生活保護基準を大きく上回る収入を得ており、生活保護の対象とならないであろう。

 というわけで、「パチンコが仕事ですから」とパチンコのプレイに日夜取り組む可能性も、生活保護の場合には考えにくい。厚労省も「そういう場合には、稼働能力の不活用として、就労指導の対象になります」ということである。パチンコを業として個人事業を開始し、必要な資格を取得し、記帳し、青色申告(あるいは白色申告)を行い……という作業が恒常的に行えるのであれば、確かに「稼働能力はある」ということになるだろう。

 もしかすると、「パチンコが好きで好きでたまらない」という生活保護利用者に対し、その気持ちをフックにして、就労にもパチプロとして自立するにも必要な知識やスキルの習得に誘い、その知識やスキルが評価されて就労がかなって生活保護から脱却したころにはパチンコを健全に楽しめるようになっている……という「自立の助長」もありうるかもしれない。

 生活保護を利用する前のその人の「ギャンブルが好き」「性欲がある」「玉ねぎは嫌いだ」「蕎麦にはアレルギーがある」は、生活保護を利用したからといって変わるわけではない。保護開始の前日に「ギャンブル好きなスケベ」だった人は、保護開始の翌日も、「ギャンブル好きなスケベ」のまま、それまでの人生の延長を生きているはずだ。さまざまな欠点や「突っ込みどころ」を否定し、傷つけ、その人を別の人間にしようとするアプローチが成功に繋がるとは、私にはどうしても思えない。むろん、生活保護を利用していない人々が、「生活保護なんだから、ギャンブルしたいなんて思っちゃいけない」と思ったり口にしたりすることにも、それなりの背景があることは理解できるのだが。

 いずれにしても、現在のところ、生活保護を利用しながらのパチンコは、勝っても面白くなく、負けたら当然ながら面白くなく、勝ったことを隠していれば不正受給となり……という、大変バカバカしい遊びである。

「生活保護なのに!」という見方が大嫌いな私ではあるが、「ここまで楽しくなくリスクだらけの遊びを、敢えて選ぶ必要はないのでは?」という気持ちになる。また、「バカバカしいけど、やめられない」というパチンコ依存症状態に陥っているのであれば、バカバカしい上に依存症という病気で苦しい状態から、治療によって早期の回復を目指して楽になっていただきたいと願う。

 次回も引き続き、この問題を通じて、「生活保護の役割とは?」について考えていく予定だ。