今年の春から獨協大学で学部の学生向けに「金融資産運用論」と題する授業を担当している。半年でひと区切りの授業なので、そろそろ試験を行って、成績評価をしなければならない。本稿が掲載される頃には、試験は終了している。
今年は学生のレベルがよくわからないこともあり、記述式で単位を取りやすい出題・採点を行う方針だ。相談はダメだが、持ち込みは自由とする。出題内容も、最後の授業でおおまかに事前公開する。まじめに解答したと覚しき答案にはすべて単位を与える。
授業で述べたことがどれくらい伝わったのか、自分をテストするような心境だ。結果を見て、秋学期以降の授業内容を修正する。
問題は4題出題、うち1題を選択し、800字程度で論述してもらう。800字あれば、本当に理解しているかどうかわかるだろう。
1問目は、行動ファイナンスの内容と、それが現実のビジネスにはどう応用されているかを問う。人間の判断が非合理的である可能性を前提として、主に認知心理学の成果を使って資本市場の振る舞いを研究する分野であること、既存のファイナンス研究に対しては市場での裁定に限界がある点の指摘を通じて鋭い批判になっていることなどが書かれていると、出題側としては大満足だ。実例としては、伝統的なファイナンスではダメな商品である毎月分配型ファンドが、行動ファイナンス的には売れてもおかしくない商品であることなどを例として指摘し、行動ファイナンスが金融商品のマーケティングに「悪用」されていることまで書いてくれたら最高だ。