AERA Premium 医学部がわかる(AERAムック) 朝日新聞出版 定価:1,296円(税込)

 医師専任のキャリアコンサルタントとして、生身の医師の声を聞き、実情を肌で知る株式会社ニューハンプシャーMC取締役の中村正志さん。そもそも医師という仕事の内容や働き方を具体的に考えていない人が多いと言う。

「医学部合格や医師免許取得は、ゴールではありません。医師にはどんな選択が必要で、何に迷うのか、事前に知っておき、その上で、なりたい医師像を大いに描いていただけたらと思います」

 『医学部がわかる』(AERAムック)に掲載された、研修医や勤務医の悩みと、中村さんのアドバイスを紹介する。

【研修先の選び方は? 大学病院2年目研修医 男性Dさん】
――母校の大学で初期研修中です。後期研修先として大学病院の医局に入るか、市中病院かで悩んでいます。診療科は内科系か耳鼻咽喉科を考えていますが、最終的には大学に残るのではなく、患者さんにより近い存在で勤務医として働きたいです。

大学病院と市中病院それぞれの特徴(『医学部がわかる』より)
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 大学病院と市中病院には、それぞれ特徴があります。

 大学病院は特殊な症例も集まる半面、医局の人員が多いと雑用に追われてやりたいことができない可能性もあります。内科・外科(メジャー科)志望なら、市中病院のほうが一般的な症例を数多く経験できるでしょう。一方、耳鼻咽喉科などのマイナー科は、市中病院にはないことが多く、大学病院のほうが無難です。

 大学病院には、偏差値や歴史的な背景などによるヒエラルキーが存在し、上位の大学は関連病院が多数あって医局の派遣機能も高いなど、医師のキャリアに大きく関わります。一般の社会以上に、「学歴」が影響する世界です。

【バーンアウトしてしまいました 市中病院2年目研修医 女性Eさん】
――初期研修を開始して半年も経たずにうつ病になり、休職しました。その後、研修は中断して大学院に進学。学位は取得しましたが、研修を修了していないことが悩みの種になってきました。再度研修を受け直そうかと思いつつ、受け入れてくれる病院があるか不安です。