例えば、社内では「中国にはトップ人材を送れ」と言っています。過去には、日本人で英語が話せる社員や、組織の枠から少しはみ出した社員などを海外に出していましたが、今は違います。本当に中国のマーケットやビジネスの進め方などを深いところで理解できるように、実務レベルで優秀な人材を出します。彼らは、中国人と一緒に同じオフィスで働いています。すでに人事部長とは話がついていますし、私から「あいつはどうだ?」と打診することもあります。

――しかしながら、国内の塗料業界の一部には「日本ペイントHDは、自前の海外展開をしてこなかった。事実上、ウットラムに“身売り”することと引き換えにして、彼らの力を借りて海外で成長する道を選択せざるを得なかった」という見方をする人もいます。そうした受け止め方について、どう思いますか。

 はっはっは。それはまた、笑っちゃう話ですね。

 確かに、過去は両社の間には明確な役割分担がありましたが、今は違います。ウットラムのゴーさんにしても日本ペイントHDの最大株主という立場に変わっているため、これからは経営者目線で判断するでしょう。一方で、私たちのアジアでの事業展開も、一緒にやっていかざるを得ないように変わっています。先ほど、機能別に4つの事業会社などに束ね直した話をしましたが、それぞれの事業会社は、今では海外の顧客とダイレクトにやりとりしています。かつてのように、日本人同士で反目することもなく、関係者は混じり合っています。

 現在の方向性では、両社が一緒になってどこまで企業価値を高められるのか。日本で株式上場する日本ペイントHDを中軸にして、グローバル化が進む中でいかにして整合性を持ったガバナンスを実現するか。どのようにして、将来の経営人材を育てていくか。今は、そういったことが課題になっています。

 ですから、「社長には日本人がなるべきだ」とか、「旧日本ペイントの出身者でなければならない」という考えは、まったくありません。将来的に、“グローバル・ペイント・メジャー”になることを目指す以上は、外国人が社長になることもあるでしょうし、本社が海外に移ることだってあるかもしれません。

動いていない会社は
死んでいるのと同じ

――日本の塗料業界では、日本最古の塗料メーカーである日本ペイントHDは「官僚的な会社だ」と言われてきました。しかし、田堂社長は旧日本ペイントの子会社に中途入社して最後は社長になったばかりか、さらに上の持ち株会社の社長にまでなりました。中途入社する前は、どこで何をしていたのですか。