鉄壁と思われたアップルの
セキュリティが破られた!
政府と企業の世紀の対決の様相を見せていた「FBI vs.アップル」のアイフォンを巡る確執が、あっけなく収束した。FBIがサードパーティーの手によってアイフォンのロックを解除することができ、要請を拒んでいたアップルとの法廷での対決を免れたからだ。
この問題は、昨年カリフォルニア州のサン・バーナーディーノで14人が射殺された銃乱射事件で、容疑者の持っていたアイフォンの情報にFBIがアクセスしようとして起こっていたものだった。アイフォンにはパスワード入力を10回間違えると中のデータが消去されてしまうしくみが盛り込まれており、そのセキュリティロックのしくみの解除をFBIは要請していたのだ。
要請を拒むアップルと、国家保全を主張するFBIとの対立はかなり公になり、アップルは全ユーザーのプライバシーを護る正義の味方として立ち上がっていた。一方のFBIは、これは単一のアイフォンに関する問題であり、それほど大げさな話ではないと主張していた。その間中、アイフォンのロックを解除できるのは、広く世界を見回してもアップルだけという意識が世間の共通意識に植え付けられていたのである。
ところが、審問を翌日に控えた米時間3月21日になって、アップルの支援なしに解除が可能になるかもしれないとの理由で審問が延期になった。そして3月28日になってアクセスに成功したため、アップルへの要請は不要になったとして、司法省は協力命令の取り下げを申請した。大騒ぎから急転して、ことは収まったようなのである。
だが、実はこの問題は今後もくすぶり続ける可能性が大きい。その理由はいくつかある。