「いいからさっさとやりなさい」

 なぜなら、幹部社員(管理職)の仕事は「社長の決定をすみやかに部下に伝え、実行させること」だからです。

 社員が「社長は身勝手すぎる! 社長の考えと自分の考えは違う!」と不満をぶつけてきたら、社長は次のように言うべきです。

「私のやることや決定の内容に納得できないのなら、すぐに辞めて他社に行きなさい」

 なぜなら、社長の価値観を共有させて、「社長のコピー」をつくることが社員教育の要諦だからです。
 社長のコピーがいればいるほど、組織は堅牢(けんろう)です。

 社長も人間ですから、いつも正しい決定をするとは限りません。
 でも、社長が明らかに間違った決定をしても、「ただちに実行する」のが管理職の仕事です。

 間違った決定を実行すれば、うまくいかずに、失敗したり、赤字になったりします。すると、どんなダメ社長でもすぐに気がついて、やめる(笑)。
そして次の手を打つことができる。

「社長の決定は間違っている」と言って何もやらなかった会社は、時間を損しているうえに、何もやらなくても経費はかかっている。

 社長が周囲の意見を聞きながらのんびりやった結果、会社が倒産してしまったら元も子もありません。

 したがって、ワンマンと言われようが社長が独断で決定し、それを社員に愚直に実行させるのが正しい。

 株式会社サン・ヤマモト(学習塾FC/神奈川県)の山本裕一社長も、私の「かばん持ち」をしたときは、典型的なダメ社長でした。

 私は、当時の社長であった山本豊一さん(現会長)から、「息子を1ヵ月、教育してほしい。息子は口だけ達者で、実際は現場のことが何もわかっていないから鍛えてほしい」と頼まれ、「かばん持ち」をさせることにした。

「今はもう、父親とぶつかることもなくなりました。自分が社長になってみて、まだまだヒヨッコだったと思い知らされています。銀行がサン・ヤマモトと取引をしてくださるのは、父親が30年かけて築いてきた信用があってこそ、です。もし父親が退けば、銀行の態度はガラッと変わるかもしれません。そう思うと、『この人の生き様を見習わなきゃな』と思います」(山本社長)

「自分以外が悪いから自分もよくないんだ」という考えは、冷静さを失った身勝手な愚痴でしかありません。どんな正当な理由があろうと、50%は自分が悪いのです。