私は一度、藤本のもとを離れて独立しました。
 しかし、体力が衰えていた藤本に請われて再入社。藤本の死後に、武蔵野の社長に就くことになったのです。

 藤本は1985(昭和60)年2月24日に亡くなりました。
 それ以降、命日には社員全員でお墓参りを続けています。
 わが社の発展は、ひとえに藤本の努力のおかげです。
 社員とその家族が幸せに暮らせるのは、藤本の創業の苦労があったからこそ、です。

 私は新卒社員に対しても、「親への感謝を忘れてはいけないよ」と言っています。そして、「初任給が出たら、ほんの少しでもいいから、必ずご両親に渡しなさい」と指導している。

「育ててくれてありがとう。大学まで行かせてくれてありがとう」という感謝の気持ちを、言葉だけではなく「目に見える形で」示すことが大事です。