6月23日、EUの将来に
重大な懸念発生の可能性

 日本から眺めていると、6月23日に行われる英国の国民投票はどうしても対岸の火事のように見える。「最終的に英国民はEU離脱を選択することはないだろう」という、楽観的な感覚を持っている向きが多いだろう。

 しかし、英国の事情に近い人たちに話を聞くと、国民投票の結果予想についてはあまり楽観的ではないことが分かる。むしろ、EU残留にNOの回答が出る可能性は高まっている。

 元々、英国の国民には、EU加盟で国や通貨の主権が低下することに危惧を抱く人は多かった。英国内でも、アイルランドやスコットランドの独立に対する意識は高く、人々の“自分の国”への帰属意識はかなり強い。

 それに加えて、最近の難民問題の発生がEU残留反対派の勢いを増すことになっている。英国内の世論調査でも、残留賛成・反対はほぼ拮抗の状況から、やや反対派が上回るとの調査もある。

 仮に、6月の国民投票で残留派が敗れることになると、影響は小さくない。その結果によって、深刻な財政問題に悩むギリシャや一部地域の独立問題を抱えるスペインなど、EU離脱派が勢いを増しそうな国や地域は多いからだ。

 国民投票で残留派が敗れたとしても、EUからすぐに離脱するとは限らない。英国としては、より有利な条件を引き出すことで残留することになる可能性もある。

 ただ、経済や社会事情が異なる複数の国を束ねるEU、特に単一通貨を使うユーロ圏には、ドイツのように経済的に強い国とギリシャのように弱い国が共存する問題点がある。それを、同一の金利・為替で経済運営を行わなければならないという一種の矛盾を抱える。

 経済状況が良いときであれば、そうした矛盾は水面下に隠すことはできるだろう。しかし、いったん、現在のように経済状況が悪くなると、その矛盾は顕在化し、国民から不満が出ることは避けられない。