3月末、銀座の数寄屋橋にそびえ立つ商業施設「東急プラザ銀座」の上層2フロアに、ロッテ免税店がオープンした。広々とした明るい店内には150もの高級ブランドが入り、宝飾品やバッグ、化粧品などが豊富に取りそろえられている。
狙いはもちろん、中国人旅行者の“爆買い”。2015年の訪日外国人数は1973万人を突破し、そのうち4分の1を中国人が占める。彼らの消費意欲の旺盛さは、もはや説明不要だろう。
銀座には消費税が免税になる「TaxFree」を掲げる店が多数あるが、ロッテの免税店は関税と酒・たばこ税も免税となる「DutyFree」。空港型市中免税店と呼ばれ、購入後は空港の専用カウンターで商品を受け取る。目と鼻の先にある三越銀座店も、1月末に8階を全面改装し、同タイプの店をオープンしている。
ロッテは30年以上、DutyFreeを手掛けており、年間売上高4200億円をたたき出す。ロッテ免税店JAPANの澤田貴司社長は、「銀座を手始めに店舗を増やし、韓国を上回る規模に事業拡大したい」と力強く語った。
しかし、華々しいオープンにこぎ着けるまでには、想定外の紆余曲折があった。
まずはロッテグループの「お家騒動」。会長の重光昭夫氏と、創業者の武雄氏、昭夫氏の兄・宏之氏との確執が繰り広げられた。
そして開業準備がヤマ場を迎えた2月、澤田氏の“電撃移籍”が発覚。週刊ダイヤモンドの記事「新生ファミマ、首位を狙う統合大改革の中身」でも触れたように、澤田氏がファミリーマート社長に大抜てきされたのだ。