ですから、Bさんタイプのビジネスパーソンは、このようなワークをするとき、とにかく細かい数字を追いかける習性があります。

 先ほどのメガネ市場の例でも、年齢別ではどうか、普通のメガネとサングラスは分けて考えるべきじゃないか……。自ら細かい数字を追いかける選択をし、とにかく「正解」に近づこうとします。

 しかし、仮にそのような思考回路で1時間かけても、おそらく出てくる結論は「だいたい数千億円」ではないのでしょうか。

 だとするならば、私のように3分もかけずに3,000億円という結論を出せれば、それで十分だと思うわけです。

 ・細かく、緻密な作業のほうが「善」
 ・ざっくり、大まかな作業は「悪」

 そう思い込んでいるビジネスパーソンの多さに驚きます。
 ただ、これはある視点で考えてみると仕方のないこととも言えます。その視点とは、私たちが受けてきた「教育」です。

学生時代の「数学」の問題点

 たとえば学生時代の数学は必ず正解があり、正解を答えると◯(マル)をもらえました。正解が1.5だったら、1.4と答えると×(バツ)をもらいます。
 そんな体験をさせられた私たちは、どうしても細かく、緻密な作業をした結果の正確な情報のほうが「善」と思い込んでしまうのかもしれません。

 私がビジネスパーソンの教育のために「ビジネス数学」を提唱するのは、こういう理由もあるのです。

 学生時代は学生時代の数学で意味があるし、すばらしい教育だと思います。しかし、それはあくまでアカデミックな世界の話であって、ビジネスパーソンにはビジネスパーソンの教育の仕方があるのです。

 この記事を読まれたあなたは、どうか思考回路を「数学」ではなく「ビジネス数学」に変えていただきたいと思います。

 それでは最後にひとつ質問しましょう。もちろん、正解はありません。
「あなたの自宅からいちばん近いコーヒーショップの、1日の売上高はだいたいいくらでしょうか?」