スピードアップと無駄の削減は
「1つの改革」から劇的に進むもの

 さらには、「手の込んだ報告レポート」「皆が集まる会議」が多すぎて、本業に費やす時間を圧迫している日本企業もあるそうだ。グローバル企業では、毎日レポートが必要な仕事であっても「5-15の法則」に沿い、レポート作成に5分以上時間を割くことはない。

 ちなみに「5-15の法則(Five Fifteen Rule)」とは、「ビジネスのメールや報告は5分で書き、15分で読めるものにする」ことだ。ボスも大量のメール報告を受けるので、長ったらしい文章なんて読まない。

 ここまで書き出した海外展開中の日本企業の数々の「奇妙な事例」は、ウケを狙っているわけでない。この記事を読んでいて「変だな」と感じるなら、そろそろ正していってもよいのではないだろうか。1つ変革してみるだけでも、日本企業の仕事のスピードアップと無駄な時間・コストを削減できるように思う。

海外進出の問題点(2)
現地人材のマネジメントができない

 日本の海外展開のもう1つのボトルネックは、現地人材のマネジメントだ。これはローカルサイドの視点にならないと理解できないだろう。前述の「日本企業のムダ」は、もちろんシンガポール人の中でも認識されている。しかしそんな噂にも負けず、日本企業に入りたいと言ってくれる外国人もいる。「日本に旅行に行くのは好きだが、入社するのはちょっと……」という外国人が多い中で、入社したいほどの親日家は貴重な人材と言える。

 しかし、そんな貴重な親日家たちが、ワクワクしながら日本企業に入社すると、最初の洗礼がやって来る。日本人ボスが必要最低限しか会話をしないのだ。日本人ボスは、日本人同士でつるんで日本食を食べにいき、外国人とコミュニケーションを取らない。ガイドブックとウェブサイトで現地の文化やイベントに詳しいわりに、外国人の実生活には興味を示さない。

 グローバルカンパニーでこれだけ偏ったコミュニケーションしかとらずにいれば、「組織のボスとしての職務をクリアしていない」として数ヵ月でクビだが、日本企業だとこうした状況がまかり通っているのが現状だ。

 余談だが、筆者はローカルメンバーと仲良くなるために、ランチについて行き、ホーカー(エアコンのない屋外フードコート)で一緒にランチを食べまくった。時々会話が中国語になり、おいてけぼりにされるのが辛かったが、頑張ってひたすら同行した。