オプション取引とは、端的に言えば「後悔の量を最小化するための仕組み」である。しかしそれは、金融市場でしか通用しない仕組みではない。むしろ、私たちの生活は、オプション取引に満ちている。
4刷を突破したファイナンス理論の入門書『あれか、これか』のなかから紹介していこう。
オプション取引とは何か?
オプション取引とはデリバティブ(金融派生取引)の一種であり、あらかじめ決められた期間または期限に、ある資産を一定の価格で取引する権利の取引を指す。
これだけだとややわかりづらいと思うので、まずはオプション取引を成立させている4つの要素を押さえておこう。
まず、(1)原資産だ。さまざまな株式、FX、債券、オイルなど、相場のある資産は何でも対象になる。次に、(2)スポット価格と(3)行使価格である。スポット価格とは、原資産の現時点での価格であり、行使価格とは権利を行使するときに払うべき価格だ。最後に、(4)オプションの期間も必ず定められる。つまり、権利行使が可能な期間だ。
ストック・オプションに基づいた説明だけだと誤解されかねないが、オプションで取引されるのは、一定の期間内に一定の価格で買う権利だけではない。決まった価格で売る権利も取引される。
将来に原資産を買う権利のことをコール・オプション、売る権利のことをプット・オプションという。
オプション取引のすごいところは、こうして将来的に原資産を売買する権利そのものを取引できるようにしてしまったことにある。これについては、また後日の連載で見ていくことにしよう。