人生は「オプション取引」に満ちている

オプション取引はいわゆる投資の場面だけではなく、世界のあらゆる取引の中に組み込まれている。

たとえば、マイホームを買うときは、一気に全額を払うのではなく、まず手付金として購入額の5~10%を支払う商慣習がある。1億円の家を購入することになり、まず500万円の手付金を払ったとしよう。

しかし、1ヵ月後の物件引き渡しまでのあいだにもっといい物件が見つかったため、あなたは購入をやめたくなってしまった。キャンセルしたとき、手付金500万円は戻ってこないが、残り9500万円を支払う必要はない。

これをオプション取引のフレームに当てはめてみると、行使価格9500万円・期間1ヵ月のコール・オプションを500万円で購入したということになる(原資産はマイホーム)。

権利を買っただけなので、その権利を行使するかしないかは本人の自由だ。1ヵ月後にオプションを行使すれば、予定どおり9500万円でマイホームを手に入れることができるし、もし急に気が変われば、買うのをやめることもできるわけだ。

では、これをもとに少し頭の体操をしてみよう。

【問題】次のうち、オプション取引でないものはいくつあるか?
(1)超人気のレストランのフルコースを1年後の記念日に予約した
(2)1等3億円の当たる年末ジャンボ宝くじを購入した
(3)家族の将来に備え、生命保険に加入した
(4)1ヵ月後に仕立て上がるスーツを代金後払いで注文した

どうだろうか?オプション取引の定義に照らしながら考えてみてほしい。

先回りして答えを言ってしまえば、オプション取引でないものは1つである。それぞれ見ていくことにしよう。